朝、茂野が学校へ行った後も、蒲団の中でごろごろしていた。蒲団はいいな。そう思った。それはたぶん茂野と最も意見の一致するところだった。一回やってみたいんだよな、茂野が言った。教室に蒲団敷いて、蒲団に入ったまま授業すんの。それが理想だと言う。眠りつづけることができたら…
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でもやっぱり茂野とは少し違うと思った。その思いはしかし常に重苦しい劣等感と対になっていた。寝ることはなんのプラスにもならない。生きるということは何者かとしてあるということだ。あらないことを決して許そうとしないここ、この場所。心地良い眠りにはだから罪悪感が伴った。