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モナドロジー

心に残る一節

そこで私は,自分の愚かな肉体が気づかないうちに死ぬ。人が見るもの,叫ぶもの,じたばたするものとは残骸にすぎない。残骸は自分のことがわかっていない。この混乱のどこかで,やはり思い違いしたまま,思考は必死にもがいている。思考もまた私を探すが,あいかわらず,そこに私はいない。

ベケット『マロウン死す』,宇野邦一訳,河出書房新社

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