〽いろいろ手を変え品を変え
西洋仕込みの恋愛人間
ポケットの中にはいつも領収書
「僕はこんだけやりましたよ」
友部正人「君が欲しい」、『にんじん』URC
「こんだけやりましたよ」
象徴を消費して自得する小ブルジョワ恋愛依存症への皮肉たっぷり。
だったら、いっそ「クレヨンで描いたズボンを穿いて吉祥寺の街で気取ってやろうか」。
現代を支配するものはマルクス唯物史観に於ける「物」ではない、彼が明瞭に指定した商品という物である。
小林秀雄「様々なる意匠」、新潮文庫版
小林の時代から九〇年経つと、その質感や機能性すら必要でなくなり、ポケットの中にはただ領収書が残るだけになる。
此んな時代の中ではあれ、吾屹立せんと欲すれども、「芥川氏の住んだ『孤独地獄』」(宮本顕治)に堪えうるメンタルの強靭はなからん。じゃ、どうする?
このマルクス主義が一意匠として人間の脳中を横行する時、それは立派な商品である。
小林秀雄、ibid.
いや、プロレタリアの意識はイデオロギーではないんだ、と反論しよう。『歴史と階級意識』を読み込もう。正しい階級の意識は正しい、という同語反復以上のものがあるはずだ。さあ、自らの内にある萎びた抒情にツルハシを打ちおろせ!