KGS

歌は私の悲しい玩具である
─ by 石川啄木

夕暮れどきの交差点
街がとおく影絵のように
沈んでいく
わたしがいつかあなたであったら─
「あなたの風船が、あの頃から
 わたしの夜空の底に落ちているんです」
なんて、
あなたはいつからかもうわたしなんです
だから、影絵の向こう
あなたの真っ赤な夕焼けが美しく輝く
空の奥処に、ちいさな風船が
ゆらりととんでいく